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Swellを使ってみました。

五重塔(gojuunotou)

This sentence is adopted from 五重塔 by 幸田露伴.
He used to use difficult 漢字.
Nearly 100% Japanese graduated college or university, can read the original without bury.
To enjoy Japanese literature, you need some grammatic knowledge.
It is always necessary to do some effort to obtain real beauty.

Original
木理もくめ美うるわしき槻胴けやきどう、縁にはわざと赤樫あかがしを用いたる岩畳作りの長火鉢ながひばちに対むかいて話し敵がたきもなくただ一人、少しは淋さびしそうに坐すわり居る三十前後の女、男のように立派な眉まゆをいつ掃はらいしか剃そったる痕あとの青々と、見る眼も覚さむべき雨後の山の色をとどめて翠みどりの匂においひとしお床しく、鼻筋つんと通り眼尻めじりキリリと上り、洗い髪をぐるぐると酷むごく丸まろめて引裂紙ひっさきがみをあしらいに一本簪いっぽんざしでぐいと留とどめを刺した色気なしの様はつくれど、憎いほど烏黒まっくろにて艶ある髪の毛の一ト綜ふさ二綜後おくれ乱れて、浅黒いながら渋気の抜けたる顔にかかれる趣きは、年増嫌としまぎらいでも褒ほめずにはおかれまじき風体、わがものならば着せてやりたい好みのあるにと好色漢しれものが随分頼まれもせぬ詮議せんぎを蔭かげではすべきに、さりとは外見みえを捨てて堅義を自慢にした身の装つくり方、柄の選択えらみこそ野暮ならね高が二子の綿入れに繻子襟しゅすえりかけたを着てどこに紅べにくさいところもなく、引っ掛けたねんねこばかりは往時むかし何なりしやら疎あらい縞しまの糸織なれど、これとて幾たびか水を潜って来た奴やつなるべし。
quoted: https://www.aozora.gr.jp/cards/000051/files/50351_36759.html

Translated in current Japanese
胴どうは木目の美しい欅けやき、そして縁ふちにはわざと赤あか樫がしを使った頑丈な作りの長火鉢ながひばちに対むかって、話し相手もなく、ただ一人、少し淋し気に坐っている三十前後の女。男のような立派な眉を何日いつ掃はらってしまったのか、目も醒さめるような雨上がりの山の色を髣髴ほうふつとさせる青々とした剃り跡は、翆みどりの匂いさえ漂うようで、ひときわ床ゆかしく感じられる。鼻筋がつ・ん・と通り、眼尻はキリリと上がって、洗い髪をぐるぐると無造作に丸め、そこに引裂紙ひっさきがみをちょっとあしらって、一本いっぽん簪ざしでぐいと留とめただけの様子は、色気はないように思えるが、憎いほどに烏黒まっくろで、艶つやのある髪の毛が幾筋か少し乱れ、浅黒いながらもスッキリとした顔に掛かった雰囲気は、年増としま嫌いでも褒めずにはいられない容貌である。
quoted: https://ncode.syosetu.com/n7229ey/1/

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この記事を書いた人

1949年6月22日福島県郡山市生まれ。会津細井家の末裔。

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