著者 三角寛(みすみかん)
内容 山窩と呼ばれる特殊な集団について三角が調べた結果を出版したもの。
面白いと思った点は幾つか。
1つは取材当時、三角が朝日新聞の記者であったこと。戦前は朝日もまともな取材をしていたらしい。もっとも取材内容は全てに信憑性があるわけではなく、インチキという説もある。
山窩自体は実在していたらしいが現在では全て消え去ったようだ。その特殊な集団が何時くらいから発生したかは謎解きで興味深い。
神代文字のような特殊文字を使っていたとも記載されている。ただ、これも全部は信用出来るかは疑問。神代文字の文献にはサンカ文字として現れているので多少は信じても良さそうだ。
またサンカ言葉も日本語の古代語に通じるところがあり、本当であれば面白い。しかし、これも三角程度の知識でも容易に捏造出来るので疑問は残る。
常識的に考えれば幕末辺り、生活苦?から放浪集団が発生したとしても不思議ではない。彼らは人里から遠からずのところに居住し農家などと交流していたとされるので自然である。想像を逞しくして、もっと古い時代、例えば縄文時代から続く集団と考えると、ロマンチックであるが、古い文献にも斯様な記述が見受けられないところから見ると少々無理があるようだ。
三角寛は故人で、もはや聞くことが出来ないが、彼は一つの人間社会の理想像を山窩によって語ろうとしたのではないか。
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